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多様な情報収集の方法の1 つとして、生成AI を活用

2024/07/08

②使い方を学ぶ
③教科の学びに用いる
小学校
国語

堺市立八上小学校(大阪府)

授業での生成AI活用例:多様な情報収集の方法の1 つとして、生成AI を活用

学校名:堺市立八上小学校(大阪府)
学年:小学校6 年生
教科:国語
単元:構成を考えて、提案する文章を書こう
活用場面:情報収集の手段の1 つとして活用

■授業概要

 教科書の教材「デジタル機器と私たち」の中で、よりよくデジタル機器と付き合うために提案する文章をグループで作成します。本教材の目標「読む人に説得力をもって伝わるように、構成を工夫して、提案する文章を書こう」を達成するため、理由や根拠も取り入れた説得力のある提案書を作成し、その評価を行うという内容を全7 回の授業で行いました。
 子どもたちには、1 時間目では作成する提案書のテーマを考えてもらい、2 時間目ではモデルとなる提案書を分析してどんな提案書を書けばいいか評価基準を考えてルーブリックを作成してもらいました。
 いよいよ今回の3 時間目では、提案書を作成するために情報収集を行いますが、その1 つの手段として生成A Iを活用しました。


■先生が設定したシステムメッセージ

tomoLinks では、生成AI のふるまいや回答パターンを先生が事前に設定しておくことが可能です。
今回、先生は下記の内容で設定しました。

【授業の流れ】

「3 時間目のめあて:テーマに向けて情報を収集しよう」


①情報収集の手段について意見を出し合う

・先生から「情報の収集はどうやって行えばいいだろう?」と問いかけを行い、子どもたちに発表してもらいました。


②グループに分かれて、各テーマについての情報収集を行ってもらう

・子どもたちはtomoLinks 「生成AI学習支援機能(チャッともシンク)」をはじめ、思い思いの方法で情報収集を行いました。

子どもと生成AI とのやり取りの様子


③生成A I への聞き方の改善方法や、その他の情報収集方法について検討する

・先生から子どもたちに、情報収集の進捗を確認しました。

・生成A I を活用した子どもたちには、「どんなことを聞いてみた?」「A I の言っていることって正しかった?」と問いかけを行いました。

・そのうえで、「よりA I に上手く答えてもらうためにはどうすればいいだろう?」と問いかけを行い、子どもたちに改善案を提案してもらいました。
 ~改善アイデアについての発表例~
  ・A I への聞き方を変えてみる
  ・A I に「もっと簡単に言って」や「もっと短い文章にして」と聞いてみる

・他にどのような情報収集方法を試してみたかについても発表してもらいました。
 ~他に試してみた方法の例~
  ・友だちにアンケートを取ってみた
  ・自分の体験を友だちと話し合った
  ・本を読んで、A I の回答が本当かどうかを確かめた

実際の板書の様子


④改善方法を考慮して再度生成A I で情報収集

・③で提案してもらった生成A I 活用の改善案や、情報収集方法を取り入れて、引き続き情報収集を行ってもらいました。

・先生は、今回のテーマに関係する書籍も用意して、これらも使用していい旨を伝えました。

・先生からは「生成A I で情報収集を行う人」「アンケートを行う人」のように、グループの中で役割分担してみることも提案しました。

書籍も活用して情報収集


⑤まとめ・ふりかえり

・各グループでどのように情報収集を行い、どのような結果が得られたかや生成AI を活用した感想について発表してもらいました。

・先生からは、「2 つ以上の方法を組み合わせて情報収集を行ったグループはあるかな?」「情報収集の手段は1 つでいいのかな?」という問いかけを行い、2 つ以上の手段を用いることで、提案書をより説得力のあるものにできるというアドバイスを行いました。

・今日の学びについて、各自ふりかえりを行った内容を書いてもらいました。



児童の感想 ※アンケートより抜粋

・生成AIに質問するときに質問を考えるのが、とてもむずかしかったがみんなで協力して、文をまとめられていい回答がでてきた。

・質問をして答えが返ってきた後の下のほうの文章に「次はこんなことを聞いてみてね」みたいな次の質問の例が出ていたのが想像が膨らんでいいと思った。

・AI はあっているしまちがっているかもしれませんが詳しく調べるにはAI を使いたいです。



先生の感想 (堺市立八上小学校 岡田 憲典 先生)

■今回生成AI を活用しようと思ったきっかけはなんですか?

自身では、生成AI を議事録の要約や授業づくりでは日常的に活用しています。生成AI は、今後さらに一般的に使用されていくものなので、子どもたちに今から経験させてあげたいという想いがありましたが、一般的な生成A I サービスの活用は年齢制限などもあり、子どもたちに使用してもらうのはまだ早いかなと思っていました。そんな中、tomoLinks であれば、子どもたちが安全に生成AI を活用できるということを知り、校長先生に相談したところ、「子どもたちに正しい使い方を伝えた上であれば使用して問題ない」ということで了承を頂き、今回の授業での活用へとつながりました。
今回の授業で活用する前には、子どもたちに生成AI の正しい使い方ややってはいけないことに関する説明の時間を設けました。

先生が事前に実施した「AI をつかうまえに ミニガイダンス」のスライド

■生成AI を授業で活用してみた感想を教えてください

生成AI を活用することで、「立ち止まり方」を共有できた点が良かったと思います。提案書を書いて「これでいっか」となるのではなく、根拠となる事実を書けているか?など、生成AI やルーブリックも活用して批判的に立ち止まってもらう経験をしてもらえたと思います。子どもたちにはこのような経験を今後も積んでもらうことで、批判的に物事を見る力を養ってもらいたいですね。

■今後どのように生成AI を活用していきたいですか?

一番向いていると思うのは国語科では例えば、「推敲」の学習過程ではないかと考えています。生成AI が作成した、作品に対して推敲できるところを交流するような学習活動が想定されます。自分や友だちの作品を批判的に推敲するよりも、心理的にハードルが低い点で、推敲の視点を引き出す場面では有効ではないかと考えています。
他にも、生成AI に「反復や倒置の表現を使った詩」を作ってもらい、それを参考にして今度は自分で詩を作ってもらうというような、AI にまず例を挙げてもらって生成AI との壁打ちを通して、最終的に「自分だったら」の表現を作ってもらう使い方などもいいですね。




※記載内容は、2024年7月時点の内容です

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