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児童生徒1人1人の教育データで、個別最適な学びと学力向上を実現!

2023/08/01

先生×AIアシスト
学力調査分析
授業診断
授業支援
連絡帳
こころの日記

箕面市教育委員会・箕面市立豊川北小学校

「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現するためには、子供たち一人ひとりの教育データの分析が欠かせません。
しかし、そのためには一体どのような取り組みが必要なのでしょうか。
学習支援サービス「tomoLinks」を活用して、教育データを生かした個別最適な学びや授業改善に取り組む、大阪府箕面市の事例をご紹介します。

学習や学校生活に必要な機能がひとつにまとまっている点を評価

箕面市は、GIGAスクール構想前から小学4年~ 6年生を対象に1人1台端末を導入するなど、ICT活用を積極的に進めてきた自治体です。また長年にわたって、エビデンスに基づく教育施策にも力を入れており、市独自で「箕面子どもステップアップ調査」を全児童生徒に実施。小中学校の9年間を通して、学力・体力・生活状況に関するデータを収集し、教員の指導力向上や学校経営の改善、施策の立案に生かすなど先進的な教育を実践しています。

そんな同市が、GIGAスクール構想に合わせて、個別最適な学びと協働的な学びをサポートする学習支援サービスとして導入したのが「tomoLinks」です。箕面市教育委員会 学校教育室 指導主事 岩永泰典氏は、「デジタル連絡帳、オンライン授業システム、動画教材の共有、AIドリルなど、学校で使うICTツールがtomoLinksひとつにまとまっていて、ICTに不慣れな教員も使いやすいと思いました。また先生方が自作した動画教材をtomoLinks内で共有できる点など、プライバシーが守られていることも学校で安心して使えると判断しました」と評価しています。

児童生徒用端末での「tomoLinks」トップ画面
児童生徒用端末での「tomoLinks」トップ画面

「学習支援機能」が児童生徒・教員・保護者のつながりを作る

実際の学校現場で、tomoLinksはどのように活用されているのでしょうか。箕面市立豊川北小学校で5年生を受け持つ村井邦匡教諭は、さまざまな授業でtomoLinksの協働学習・遠隔学習機能「とも学」を活用しています。課題・ワークシートの配信や意見共有、オンラインで授業に参加する児童への映像配信や、児童の学習状況を教員端末でリアルタイムに把握するなど、とも学ひとつで個別学習、協働学習、オンライン授業を行っています。

なかでも村井教諭は、意見共有の場面でとも学を使うことが多いといいます。「子供たちが自分の意見を共有しやすく、クラス全員の多様な考えに触れられるのが魅力ですね。教員が選んだ意見だけでなく、子供たちのユニークな意見がみんなで見られて面白いですし、他の子の意見に“いいね”ができる機能も子供たちは楽しんでいます。一方で、“いいね”の数を表示しないよう教員側で表示/非表示を選べることも現場に配慮されていて扱いやすいです」と村井教諭は語っています。

ほかにも村井教諭が重宝しているのは、とも学の課題をコピーできる複製機能。「とも学には箕面市の教員が作成した課題が、教科や学年に関係なく共有されており、複製機能を使って自分でアレンジして使えるようになっています。これを使うことで、授業準備にかかる時間を大幅に削減できるので大変助かっています」(村井教諭)。

とも学で課題を配信し、授業時間を効率化

また村井教諭が毎日活用しているものに、tomoLinksの「デジタル連絡帳」があります。箕面市では、全小中学校でノートの連絡帳を廃止し、ほぼ全家庭の保護者がデジタル連絡帳に登録済み。村井教諭は「連絡帳を書く時間がなくなったことで時短の効果を感じますし、教員から保護者へ直接連絡できるようになり関係性も密になったと思います」と語っています。欠席連絡もアプリから24時間可能となり、保護者から便利になったと好評だそうです。

デジタル連絡帳でほぼ全家庭の保護者と直接連絡できる


岩永氏は、動画の利用が増えた学校現場において、教員が自作した動画教材をtomoLinks内で共有できるのも便利だといいます。「振り付けや楽器演奏の見本動画など動画投稿サイトを利用することなく、tomoLinks内で共有できるのがいいですね。ある程度プライバシーを確保して共有できる環境が助かっています」と同氏は語っています。

さらに児童生徒のメンタル面を、tomoLinksの「こころの日記」を通してサポート。児童生徒が毎日タブレット端末を起動する際に、必ず今日の気分を4段階で選択するようになっており、この記録がこころの日記に残ります。良くない気分が続いた児童生徒に教員が声かけができるほか、児童生徒から「相談メッセージ」の利用も可能です。
このように箕面市では、tomoLinksを通して、教員と児童生徒、保護者がつながる環境を築き、学習面とメンタル面の両面をサポートしています。

こころの日記で児童生徒のメンタル面をサポート

「先生×AIアシスト」で児童生徒の60%が学力向上

学校が所持する既存の学力データや、デジタル教材で得られるさまざまな学力データを集約し、自治体や地域の実情に合わせて分析できるサービスとして、tomoLinksの「先生× AIアシスト」があります。箕面市は2019年度から文部科学省の実証実験において同サービスを先行導入しており、「全国学力調査」や「箕面市子どもステップアップ調査」などの教育データをコニカミノルタと共同で分析を実施。2022年度からは、これらのデータ分析をすべての小中学校で展開させています。

岩永氏は教育データの分析について、児童生徒がどこでつまずいたかを把握できることがメリットだといいます。「今までは全体の傾向は把握できても、個人の学習分析には限界がありました。それがtomoLinksのデータ分析では、1人1人の児童生徒が、何年生のどの単元でつまずいたのかまでわかるようになっていて、忙しい教員でも簡単にケアすべき目星をつけられるようになりました」(岩永氏)。
学習理解度が10段階で表示され、「振り返りポイント」と「伸びしろポイント」がわかる。過去の学年の分も見ることができ、ケアすべきポイントが見える。

箕面市における児童生徒の学習データ分析のヒートマップ
学習理解度が10段階で表示され、「振り返りポイント」と「伸びしろポイント」がわかる。
過去の学年の分も見ることができ、ケアすべきポイントが見える

さらに教員をサポートしているのが、分析結果と連動して個々の苦手な単元を宿題としてデジタルドリルで出せること。いくらデータ分析ができたとしても、個別最適な学習を行うためには、教員がそれぞれの習熟度に合わせて問題を用意しなければなりませんが、tomoLinksではそうした教員の負担を減らして取り組めるようになっています。
しかも、個別最適化されたデジタルドリルでは、学習習熟度の違いに恥ずかしさを感じる児童生徒もいることから、tomoLinksでは通常の学年の問題と個別の問題を混ぜて出題できるよう配慮されています。

個別最適化されたデジタルドリルの宿題を、児童生徒のデジタル連絡帳に配信

箕面市ではこのサービスを利用した結果、60%以上の児童生徒の学力が向上したほか、デジタル学習教材に取り組む児童生徒も以前の5.5倍に増えました。岩永氏によると、学校現場から成績の分析結果を個人懇談で使いたいという要望も挙がっているそうです。「客観的に説明できる資料として活用し、家庭と一緒に子どもたちの学習を見守るツールとして生かしていきたいという声が多く聞かれます」(岩永氏)。

「授業診断」で若手教員の育成を実現

このように、ICT活用や教育データで積極的に取り組みを進める箕面市ですが、その一方で、近年はベテラン教師の大量退職と中堅教員の不足、若手教員の育成が大きな課題となっています。箕面市はこの対策にもtomoLinksを活用。教員や児童生徒の動きをデータ化できる「授業診断」サービスを活用して、ベテラン教員の授業力や指導技術を若手教員に受け継ぐ取り組みも行っています。

方法としては、教室内にセンサーとマイクを三脚で設置して授業を撮影。録画データからは、「発話比率の時系列推移」「挙手人数の時系列推移」「視線低下率の時系列推移」「机間指導の動線」の4点が解析され、どんな時間配分でどんな取り組みを行っているのか、児童生徒の挙手や発言量がどう違うのか、教員の机間指導はどのタイミングでどのエリアを行われたかなどが分かります。それら可視化されたデータによって、教員自身に授業の振り返りや授業改善の気づきを促すことができるのです。

授業診断のセンサーは三脚で設置可能(豊川北小学校にて)

岩永氏は、この授業診断は教員に焦点をあてており、児童生徒は“個人”ではなく“群”として認識していると強調。授業診断で得られたデータを教員や児童生徒の評価に使うことはなく、「若手教員は指導教官のアドバイスに加え、ベテラン教員との違いは何か、客観的なデータを振り返りながら授業改善に生かすことが目的です」と語っています。

ベテラン教員と新任教員の指導比較

実際に授業診断を受けたことがある村井教諭は、「自分が話しすぎている部分や発問のタイミングを客観的なデータに基づいて授業改善できるのがいいと思います。この解析結果は教員の評価に使われない点も明言されているので安心して受けられましたし、なにより、実際にやってみて自分の指導が数字で表れることに面白さを感じました」と語っています。

岩永氏は授業支援サービスの活用について、「数値化されたデータがすべてではありませんが、教員の授業を客観的に分析することで授業改善の質を高めていきたいです」と語っています。授業研究協議の場が教員の思い込みや印象ではなく、データに基づいた指摘や意見交換ができるように取り組みを進めていきたい考えです。また、研究授業に限らず、普段の授業で課題を感じている時にも、改善点を見
つける手段として授業診断を活用していきたいといいます。

教育データの分析から見えた、気づきが教育の質を高める

このように箕面市ではtomoLinksを通して、1人1台端末の活用推進に取り組むだけでなく、そこから得られる教育データも効果的に生かして個別最適な学びや協働的な学びの実現に取り組んでいます。膨大な教育データの分析から見えた、子どもたちの新たな一面や教員らによる気づきは、学びをアップデートするための糧になり、同市がめざす「生きる力」や「つながる力」を育む教育の実現につながるでしょう。tomoLinksはそんな箕面市の児童生徒・保護者・教員のつながりを築き、今後も教育全体をサポートしていく役割を担っていきます。


※記載内容は、2023 年7 月時点の内容です



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