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AIで作文を書き、AIと対話する。授業実践から考える、AIで学びはどう進化するのか

2026/05/25

チャッともシンク

東京学芸大学附属小金井小学校(東京都)

授業で子供たちがAIを活用すると、学びはどのように変わるでしょうか。

tomoLinksの生成A「I チャッともシンク」を日常的に活用している東京学芸大学附属小金井小学校の鈴木秀樹教諭に、実践や活用のポイントを聞きました。

東京学芸大学附属小金井小学校 教諭
慶應義塾大学 非常勤講師
東京学芸大学ICTセンター所員
鈴木秀樹 氏


AIで一人称の物語を 三人称へ、第三の視点をつくる

生成AIがあるからこそ実現できた国語の学び

 これまでチャッともシンクを使ってさまざまな授業に取り組んできましたが、特に印象深いのは、6年生国語『帰り道』(光村図書)での実践です。この学習のねらいは、「律」と「周也」という二人の登場人物それぞれの視点で描かれている効果を考えるというものでした。そこで、比較対象がある方が理解しやすいと考え、児童たちがチャッともシンクを使って二人の視点で書かれた物語を合体させて三人称の物語を生成し、「律」視点、「周也」視点、そして第三の視点という、三つの文章で比較できるようにしたのです。

 児童たちはこの授業にとても熱中しました。一人称と三人称という比較対象があることで、二つの視点で書かれている意味が腑に落ちたようでした。私が行った準備は、教科書のテキストをチャッともシンクのシステムプロンプトに入れておき、「物語について児童たちが書いてきたことに答えて」と指定した程度です。どのようなプロンプトを書いて合成するかも児童に任せたため、多い子では10回以上やり取りしていました。プロンプトで具体的な指示を出すためには、教科書の本文を読み返す必要があり、その点でも国語の学習として有効だったと感じています。

 正直なところ、これは生成AIがなければ実現できなかった実践です。二つの物語を子供たちが自力で統合するのは現実的ではありませんし、従来の授業では発想すらしなかったと思います。「このような学びがAIで可能になったのか!」と、私自身も感慨深いものがありました。


児童がプロンプト入力、AIが作文を書いた結果は?

 同じく6年生の国語の「構成を考えて、提案する文章を書こう」の単元では、作文の場面でチャッともシンクを活用しました。

 まず5分間だけ自力で文章を書かせ、その後、同じ内容をAIにも書かせてみました。すると、説明文は比較的よくまとまる一方で、日記や読書感想文では子供たちの思いとは異なる内容が出てきます。

 次に、敢えて子供たちに「自分では一切文章を書かない」という条件を出し、子供が入力するプロンプトだけでAIに作文を書かせました。これに対し、子供たちはAIが出力してきた文章を読み込んで、「ここが違う」「自分の考えが足りない」と何回も修正していました。

 従来の作文の授業では、「書く作業」が中心で、完成後に修正を求めると嫌がる子も少なくありません。しかし今回の様子から、子供たちは「修正」そのものが嫌なのではなく、書くこと自体に負担を感じていただけなのではないかと思うようになりました。実際、子供が最初から良い文章を書けることはほとんどないのに、作文の指導では最後まで書き上げることに重点を置き、本当に大切な推敲の過程を十分に確保できていなかったと思います。一方で、生成AIで書いた文章を「これは間違いなく自分の文章だ」と言うためには、自分の主張が反映されている必要があります。この授業では、構成と推敲の両面で子供たちの頭がフル回転していたと感じています。


子供がAIとの対話で見せる、本当の姿

 チャッともシンクを使うメリットはさまざまですが、安心・安全に使えることが一番にあげられます。有害なワードを検出・制限するフィルタリング機能が備わっているので教師は安心して授業に取り入れられると思います。また、授業や活動の目的に特化したカスタマイズがしやすいことも利点です。例えば、文集の作文を書く手伝いをしてくれる「お助けAI」をさっと作ることもできます。

 さらに、児童一人ひとりのやり取りの履歴を確認できるのも良いですね。「子供たちはAIとこんな対話をしていたのか」「実はこんな考えを持っていたのか」とこちらが驚かされることも少なくありません。

 そしてなにより、子供たちにとって大きいのは、AIが「ずっと対話し続けてくれる相手」になってくれることです。授業では、教師が1人の子供につきっきりで対話をすることはできませんが、AIは好意的に受け止めながら対話を続けてくれます。その効果を一番感じたのは道徳の授業でした。児童にいじめについてどう考えるかをAIと対話させてみると、教師や友達には決して言わない本音をやり取りしている姿が見られました。AIは「あなたの考えも大切だね。でも、こんな考えはどうだろう」と別の視点を投げかけてくれて、こうした対話はAIがあるからこそできる学びだと思いました。


スタートは教師が使った結果を子供に見せるところから

 これから授業で生成AIを使う場合は、まずは教師が教材研究時にAIを使って、その結果を児童生徒に共有する使い方から始めるのがおすすめです。授業の中でいきなり使うと、AIが何を出してくるか分からないので避けた方が良いでしょう。プロンプトの準備に時間がかかるので普段使いが難しいという声も聞きますが、私はそのプロンプトもAIで作っているので、それほど時間はかかっていません。ただ、そのプロンプトでそのAIがどんな反応をするかはテストしないとやはり心配です。そのテストに時間がかかる印象ですね 。

 また、AIなのでハルシネーションが起こる可能性はありますが、そもそも子供たちがAIから「正解」を引き出すような使い方自体に意味はありません。例えば、作文であれば、その内容が「自分が書きたいことかどうか」であれば、子供自身が判断できますし、AIを通して新たな気づきを得ることにもつながります。つまり、教師が正解を教えるのではなく、子供たちが自分で正解を作るという発想の転換が大切だと思います。生成AIの活用には、教師の教育観が問われていると考えています。 




「教育現場のためのAI導入&活用ガイド2026(インプレス刊)」掲載

※記載内容は、2026年3月時点の内容です。
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