“サポートティーチャー”として生成AIを活用。先生の意図を反映した評価とフィードバックで、子どもたちの意欲と主体性を高める
2025/08/26
近畿大学附属小学校(奈良県)
学校名:近畿大学附属小学校(奈良県)
学年:小学校6年生
教科:国語
単元(題材):構成を考えて、提案する文章を書こう ~近小ミライプロジェクト~
活用場面:提案文章の推敲の場面と、振り返りの内容のフィードバックの場面
■授業概要
「近小ミライプロジェクト」の一環として、児童が学校をよりよくするためにできることを考え、提案する文章を作成しました。その作成にあたっては自由進度学習の形式で、テーマ設定から情報収集、構成の検討、文章作成、振り返りまで、児童一人ひとりが自分のペースで主体的に取り組みます。今回の授業では、生成AIを教員の“サポートティーチャー”として、提案文の推敲と振り返り文章へのフィードバックに活用しました。また、生成AIの活用により、先生は児童一人ひとりを丁寧に見取る時間を確保でき、児童はその場でフィードバックを受け取ることで、より意欲的かつ主体的に振り返りに取り組むようになりました。
■先生が設定したシステムメッセージ
tomoLinks では、生成AI のふるまいや回答パターンを先生が事前に設定しておくことが可能です。
今回は、〈提案文章の推敲の場面用〉と、〈振り返りの内容のフィードバックの場面用〉の2つのシステムメッセージを設定しました。
〈提案文章の推敲の場面用〉 あなたは小学校の先生です。 児童が書いた文章の添削をするのが得意です。 以下の点でフィードバックを返してください。 具体的にどの箇所をどうすれば良いかを明らかに。 対象は小学6年生です。語彙や漢字も6年生レベルで対応して下さい。 言葉の間違い 言葉の使い方の間違い 句読点の使い方 接続語、接続詞 それ加えて、もっと内容を良くするための問いかけを1つしてあげて下さい。 例やお手本を示す必要はありません |
〈振り返りの場面〉 ・あなたは小学校の国語の先生です。 ・あなたは小学校の国語の指導要領の記載内容をきちんと理解しています。 ・児童が作成した学習の振り返りに対して、A~Cの3段階評価と助言をしてください。 ・内容への助言・改善点を教えてください。 #評価の基準 A:今回取り組んだ内容、及び気づきが具体的に書けている。かつ、次回の取り組みについ て内容や手段が具体的に書けている。81%~ B:今回取り組んだ内容、及び気づきが欠けている。もしくは、次回の取り組みについて内 容や手段が書けている。61%~80% C:Bに満たない場合 達成度 0~60% #対象 小学6年生の児童があなたに学習のまとめの添削をお願いします。 #条件 小学6年生にわかる言葉遣いで回答してください。 |
■授業の流れ ※自由進度学習
①導入
「近小ミライプロジェクト」との一環として、児童たちは学校をよりよくするための提案する文章の作成に取り組みます。はじめに先生から、文章作成におけるテーマの立て方や構成・展開の仕方など、必要なプロセスについて、教科書や先生が準備した手本を活用して丁寧に説明します。その後の文章作成にあたっては自由進度学習の形で進められており先生からは完成の期限だけを伝えます。その後は児童一人ひとりが期限を意識しながら、毎時間ごとに学習計画を立てて、自分のペースで企画書作成に取り組みます。
各時間における学習計画の例:「友達にアンケートをとって、困っている問題を見つける」、「提案する内容をより具体的にしていく」
②展開
児童たちは、まず企画書のテーマを決めたうえで、必要な情報を集め、提案内容や全体の構成について検討します。下書きができたら、その内容を「チャッともシンク」に入力し、生成AIによる推敲を受けることで、より伝わりやすい表現や構成を整えていきます。
AIのアドバイスを参考にしながら内容をブラッシュアップし、最終的には清書して提案書を完成させます。
今回の授業では、生成AIは先生の補助的な役割として活用しました。
企画書の核となる「テーマ決め」の部分では、単元で児童に身につけさせたい力を踏まえてあえて生成AIを使わず、友達と意見を出し合ったり、先生に相談したりと、人とのコミュニケーションを重視する方針をとりました。
③振り返り
毎回の授業ごとに、児童たちはその日の進捗を踏まえ、振り返りを各自で行います。
記載した振り返りの文章は「チャッともシンク」に入力し、生成AIから評価・フィードバックを受けることで、表現や内容を加筆・修正しながら、より深く丁寧な振り返りへと精度を高めます。そして、それぞれに合った次時の学習内容やめあてを明確化していきます。
先生の感想(近畿大学附属小学校 水谷 俊 先生 )
■生成AIを授業で使用したきっかけを教えてください。
本校では教科担任制を導入しており、子どもたちが書いた文章の添削や、毎時間の振り返り内容の確認には多くの時間を要していました。また、1日に約100人分の記述をチェックする必要があり、時間的な制約に加え、確認の正確さも欠ける部分がありました。児童にフィードバックを返すのも、最短で翌日になるため、「より効率よく、正確にフィードバックできる方法はないか」と模索していたところで、生成AIの活用に着目しました。
もちろん、生成AIを授業で使用するにあたっては懸念もありましたが、不適切な利用への対策や安全面など、教育現場での活用への配慮がなされたツールであれば導入できると思い、チャッともシンクを活用し始めました。
■生成AIを授業で活用した感想を教えてください。
生成AIにはさまざまな使い方がありますが、私は主に“サポートティーチャー”のような役割として活用しています。生成AIを活用して児童が自ら学びを進められる環境が整うことで、教員は支援が必要な児童に対して、より丁寧で個別的な指導を行う時間を確保できるようになりました。結果として、すべての子どもの学びの様子をよりしっかりと見取ることができるようになったと感じています。
また、tomoLinksの「チャッともシンク」は、事前に教員がシステムメッセージを設定できる仕様になっており、生成AIの返答にも教員の意図を反映できる点も非常に良いと感じています。
■生成AIの導入時に行ったことはありますか?
昨年、大学の先生による生成AIに関する講義を受講する機会があり、児童たちは生成AIの得意なことや不得意なこと、またハルシネーションの問題などについて基礎的な知識を得ている状態でした。そのため今回改めて特別な指導を行うというよりは、本校で独自の策定した「生成AIガイドライン」を使いながら、児童と一緒にその内容を確認しながら理解を深めていく方法をとりました。
■生成AIを授業で活用した効果を教えてください。
何より大きかったのは、子どもたちがフィードバックをすぐに受け取ることができる点です。これまでは、子どもたちが書いた内容に対して教員からのフィードバックが翌日になることが多く、タイムラグがありました。それが生成AIを活用することで、その場ですぐに評価や具体的なアドバイスをもらえるようになりました。さらに、そのアドバイスをもとに即座に書き直しや改善に取り組める点は、非常に良い効果をもたらしていると感じています。
■児童の反応はいかがでしたか?
生成AIを授業の振り返りに取り入れてから、学びに対する姿勢にも変化が見られています。体感としては、約7割の児童は生成AIからのフィードバックを元に自分でどんどん進めることができており、熱中して取り組んでいる様子が見られました。残りの3割の児童には、生成AIの活用によって教員の時間にゆとりが生まれているので「今日どんなことした?」「今日はアンケートを取ったんだね、じゃあ次は何をしてみる?」といった声かけを行いながら個別にサポートすることで、児童一人ひとりの学びを見取り、丁寧に支えることができています。
■今後どのような使い方をしたいですか?
国語の授業で、文章からイメージを生成する際に活用できないかと考えています。読み取った文章や自分の言葉で書いた文章が視覚的なイメージとして表現されることで、子どもたちの理解や発想がさらに広がるのではないかと期待しています。生成AIを通じて、子どもたちの創造力をより一層引き出すような活用方法を、これからも積極的に提案していきたいと思います。
※記載内容は、2025年7月時点の内容です
※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。