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生成AIでたのしく学べる算数アプリを作成!苦手な単元を復習しながら、主体的な学びをサポート。

2025/08/26

②使い方を学ぶ
③教科の学びに用いる
小学校
算数・数学

近畿大学附属小学校(奈良県)

学校名:近畿大学附属小学校(奈良県)
学年:小学校6年生
教科:算数
単元(題材):生成AIを使ってアプリを作ってみよう
活用場面:アプリのコードを作成する場面と、毎授業の進捗を振り返る場面

■授業概要

中学校での「数学」へ向けて、これまでの小学校で学んだ「算数」を振り返ることを目的に、下級生が算数を楽しく学べるアプリを企画・作成する授業を行いました。アプリのコードを作成する場面と、毎授業の進捗を振り返る場面で生成AIを活用。児童はAIとの対話の中で正しい算数用語の使い方を確認したり、アプリの回答が正しいかどうかを検算して確かめることで、自分の苦手な単元を復習することができました。また、生成AIを活用することで「自分にもアプリを作成することができる」という実感を得ることができ、児童の自己効力感や主体的に学ぶ姿勢も高まりました。


■先生が設定したシステムメッセージ

tomoLinks では、生成AI のふるまいや回答パターンを先生が事前に設定しておくことが可能です。

今回は、アプリ作成のアドバイスをしてくれる〈アプリ作成アドバイザー〉と、授業の振り返りを評価・アドバイスする〈算数振り返り名人への道〉の2つのシステムメッセージを設定しました。


〈アプリ作成アドバイザー〉


〈算数振り返り名人への道〉


■授業の流れ

作成するアプリを決める

小学校1年生から6年生までの算数で学んできた内容を、系統表を見ながら振り返ります。

その中で、自分が苦手な単元や、難しいと感じた単元を見つけ出し、系統表にメモを加えながら整理し、作成するアプリの内容を決めます。


②アプリを作成する

選んだ単元で、アプリを作成します。

チャットもシンクの〈アプリ作成アドバイザー〉で、作りたいアプリについて対話しながら、コードを作成していきます。

作成したコードはSwift Playgroundsにコピー&ペーストし、実際にアプリを起動して動かしてみます。

※Swift Playgrounds:Appleのプログラミング学習アプリ。AIが生成したコードを貼りつけて実行し、動作を確認しました。


作成したアプリは、対象となる学年の児童に実際に使ってもらい、感想やフィードバックをもとに改良していきます。「文字を大きくしてほしい」、「背景をかわいくしてほしい」、「問題の難易度を選べるようにしてほしい」などの声を受けて、より使いやすく楽しく学べるアプリになるよう改善を重ねます。

児童は、思い通りの表示や動きを実現するために、生成AIにどのように伝えればよいか試行錯誤しながら進めていました。その過程で「自分の考えを正確に言葉にするには、語彙力や表現力が非常に重要だと実感した」という声も聞かれました。

また、ゲームの回答が正解かどうかを確認するために、自ら単位表を見ながら検算して確かめたり、生成AIに正しい用語で伝えるために、教科書ではどのような表現をしているかを確認するなど、自然とこれまでの学習内容を振り返る良い機会となっていました。


例:時計の時刻の問題
例:単位変換の問題
円周率の問題


振り返り

毎回の授業で、〈算数振り返り名人への道〉を活用して、児童はそれぞれワークシートに振り返りを書きます。ワークシートの画像をチャッともシンクに添付し、生成AIから評価・アドバイスをしてもらいます。(先生が事前に設定した評価観点S~Dの5段階)

生成AIと対話を繰り返しながら、振り返りの内容をより深い内容に改善し、完成した振り返りを先生に提出します。

※チャッともシンクには画像認識機能が搭載されているので、児童が添付したワークシートの内容を読み取ることができます


振り返りのワークシートの例



児童の感想 ※振り返りのワークシートより一部抜粋

・エラーがでるなど苦労する点もたくさんありましたが、そのことを通じて、AIに詳しく説明する力がつきました

・エラーが出たら聞き方を変えてみるなど、色々な方法を何回も試したので、完成したときは達成感がありました

・AIは大人が思うほど簡単で便利なものではないと気づきました。 

・このアプリを使ったらきっと単位を覚えることができると思います

・生成AIを扱うには語彙力がすごく大事だと思いました



先生の感想(近畿大学附属小学校 大図 竜平 先生

■生成AIを授業で使用したきっかけを教えてください。

 もともと新しいことが好きで、生成AIにも以前から興味を持っていました。生成AIを使った経験のある先生から話を聞くうちに、自分でも授業に取り入れてみたいと思うようになりました。20年後、子どもたちが大人になる頃には、生成AIが当たり前の存在となり、日常生活のそばにあるものになると考えています。だからこそ、今のうちから生成AIがどのようなものか、その便利さや限界を自分で感じ取ること、そして使いこなせるようになることが大切だと思っていました。そのため、まずは生成AIを実際に使ってみることに重きを置き、今回のような授業で活用してみました。

 また、本校では自由進度学習という形態で授業を進めています。児童が自分で学習内容を選ぶ環境において、生成AIは学びの幅を広げる大きな可能性を持っていると感じています。だからこそ、積極的に使っていくべきだと考えています。


■生成AIを授業で活用した感想を教えてください。

 今回の授業では、様々な学びが生まれた点が非常に良かったと感じています。生成AIとのやり取りの中で、指示のニュアンスを少し変えるだけで出力結果が変わったり、同じ指示でもうまくいくときとそうでないときがあったりと、生成AIそのものの使い方について深く学ぶことができました。また、アプリを作る過程では、苦手な単元に関する用語を見直したり、検算を通して過去の学習を振り返ったりと、自然に復習が促される場面が見られました。さらに、自作アプリに対する使用者からのフィードバックをもとに改良を重ねるといった、社会人になってからも役立つ経験ができたことも、児童にとって大きな学びとなったと思います。

 児童が授業に対してより意欲的になった点も大きな成果のひとつです。アプリ作成中にエラーが出た際には、生成AIへの指示の伝え方を工夫したり、友達や先生に相談・質問したりと、自ら積極的にコミュニケーションを取る姿が多く見られました。


■生成AIを授業で活用した効果を教えてください。

 授業の振り返りにおいて、生成AIを活用することの大きな効果を実感しています。4月の1ヶ月間は、授業中に振り返りの観点を児童に伝えたうえで、児童が記述した振り返り内容を授業後に教員が確認し、手作業でフィードバックを記入して次の授業時に返却する、という方法をとっていました。しかしこの方法では、フィードバックまでに時間がかかるため、児童が内容を自分の中にうまく落とし込めず、振り返りの記述が深まらないという課題がありました。

 この4月の取組を土台とし、5月からは「先生と同じ観点で生成AIが評価を行い、その場でフィードバックが返ってくる」ことを児童に伝え、生成AIを活用した振り返りに取り組み始めました。すると、これまで振り返りを1行程度しか書けなかった児童が、生成AIとの対話を通じてアドバイスを受けながら、自分の学びを具体的に言葉にできるようになってきました。毎回の授業で繰り返し使うことで、児童は最初から振り返りの観点を意識して書こうとするようになり、記述の量・質ともに明らかに向上しています。また、教員が提示している評価の観点も、児童の中に徐々に定着してきていると感じています。生成AIからのフィードバックがその場で返ってくることで、自分の記述の足りない部分をすぐに補おうとしたり、よりよい表現に言い換えようとする姿も見られるようになりました。結果として、ほとんどすべての児童において、振り返りの質が向上していると実感しています。

 「チャッともシンク」は、児童と生成AIの対話履歴を確認することができるので、児童がどのように考えを深め、どのように成長していったかをプロセスごとに確認できる点も非常に有用だと考えています。


授業の振り返り場面での活用イメージ


■今後どのような使い方をしたいですか?

 今回の授業を通して生成AIを活用することで、児童自身に「自分でできる」という体験をさせることができた点が大きな成果だと感じています。これまで本校では、教員が生成AIを使ってアプリを作成し、それを授業に取り入れることは実施していましたが、今回は児童自身が生成AIを活用しアプリをつくることに挑戦しました。「先生に聞かないとできない」「先生がいないと進められない」という受け身の姿勢から、「生成AIを活用すれば自分の力で取り組むことができる」という実感持たせることができたことは、子どもたちにとっても大きな意味があったと考えています。

 私は、子どもたちには学びの主語を「自分」にしてほしいと常に考えています。子どもたちに「自分でできる」「自分でつくれる」といった自己効力感を持たせるために生成AIは有効な手段のひとつであると感じているので、単に使わせるのではなく、「どう使えば主体的な学びにつながるのか」といった視点を大切にしながら、今後も活用を進めていきたいと考えています。児童が自分の力を広げていけるような生成AIの活用方法を提案していきたいと思います。

 また最近では、振り返りの際に使用しているシステムメッセージについても、児童の記述内容をより的確に評価できるよう、自分の意図に近づけた評価観点へと調整を重ねています。まだ模索している段階ではありますが、今後も試行錯誤を続けながら、よりよい活用の形を探っていきたいと考えています。






※記載内容は、2025年7月時点の内容です

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